時山集落を抜けて15分程走ると岐阜県と滋賀県との県境、五僧峠に到着。
現在では想像しにくいがこの峠は昔、美濃と近江を結ぶ交通の要地であったそうな…。
峠の看板には「美濃の時山から五人の僧が移ってきてここに住みついた」と
五僧の名前の由来が書かれてありました。
県境ははっきり解りませんでしたが、五僧は滋賀県になります。
昭和40年、この五僧にも21世帯が生活していたそうですが
燃料革命による薪炭需要の激減により、昭和55年に廃村。
現在、二つの家屋が傾きながらも支柱で支えられ、何とか姿を保ち続けていました。
五僧から険しい林道を更に進むと保月(ほうずき)という集落に。
保月には、かつて家屋が65戸、300人以上の方が住んでいたという。
伊勢神宮の「天照大神」の親神である「伊邪那岐命」と「伊耶那美命」の多賀大社に訪れるために、
多くの参拝客が五僧越えのこの道を利用し賑わいをみせていたそうな。
夏場だけ、保月で生活している人がまだ居るそうです。
保月を過ぎた峠に、大きな杉の御神木が在りました。
手入れされた祠は、この道を通って来る人がいる事と
祀る気持ちが絶えていない事を黙って教えてくれます。
さらに進むと杉という廃村に。
大部分の家屋は荒廃が進んでおり、倒壊寸前で手の施しようのない状態だったが、
暗い雰囲気ではなく、何故か心和む印象を受けた。
冬場雪で閉ざされてしまう地で生活するのは現在のライフスタイルでは無理があるだろう。
しかし故郷を去った人たちが、今なお故郷を偲び、かつての故郷を訪れて、
出来る範囲の手入れをされている、そんなやさしい印象を受けた。
こちらは杉坂の御神木。
大木の迫力を写真で表すのは難しい…。
途中、目に止まった花。ヤマブキは清流沿いによく咲いています。
花の妖精が春の陽気に誘われて優雅に舞っている。
こちらの花の名を知らず、調べてみるとシャガの花と言うそうです。
中国原産のシャガが山に見られる場合、
かつては人間が住んでいた場所である可能性が高いと書かれてありました。
人々の営みはなくなっても、こうして咲き続けてくれている花がある。嬉しい限り!